外反母趾って何?
様々な足の疾患についてお話しをさせて頂きます。これから、足部疾患の中でもっともお悩みの方が多い外反母趾。その外反母趾の病態と原因について、一緒に勉強しましょう。
<外反母趾とは?>
読んで字のごとく、足の親指(母趾)が隣の人差し指に寄り添うように傾き(外反)、第一中足趾節関節が変形する病態を言います(図1)。男性や子供も発症します。
<外反母趾の病態>
ほとんどの場合、足の親指が傾くだけでなく第一中足趾節関節の内反を伴います(図2)。また、扁平足(図3)や開張足(図4)などの他の足部疾患も高率で合併します。特に足のアーチ構造の一つである横アーチが低くなり、親指から小指の付け根の幅が広くなる開張足は、外反母趾の前兆と考えられています。
<重症度分類別に見る外反母趾の症状>
外反母趾は、第一基節骨と第一中足骨のなす角度、外反母趾角(図5)によって正常から重度までの4段階に分類されます(表1)。
・軽度~中等度前半
外反母趾の方の足の裏には、高率で胼胝(いわゆるタコ)が認められ、痛みを伴う場合があります。この胼胝は、先にお話しした横アーチが低下することで中足骨頭が低下し、歩行時の最後の蹴り出しの際に繰り返し掛かる負担によって起こります。胼胝の好発部位は人差し指から中指の付け根です。
・中等度後半から重度前半
親指の付け根の第一中足趾節関節の突出部が靴に当たることによって、バニオンと呼ばれる皮下関節包炎を生じて、痛みが出現します。
また、この突出部には皮下の浅い所に指先に向かう知覚神経が通っているため、痺れや痛みが出現することがあります。更に変形が進むと親指の第一中足趾節関節が脱臼を起こします。
・重度後半~
親指が捻れながら人差し指や中指の下に入り込み(図6)、持ち上げられた指が付け根の関節で脱臼することがあります。爪の変形が起こることもあります。
・外反母趾の重症度 (表1) | |
重症度 | 角度 |
正常 | 15°未満 |
軽度 | 15°以上20°未満 |
中等度 | 20°以上40°未満 |
重度 | 40°以上 |
<外反母趾の原因>
外反母趾の原因は以下が考えられています。
1.環境要因
2.遺伝的要因
3.病的要因
環境要因として代表的なのは靴です。サイズや形が足に合わない靴を履き続けたり、踵の高いいわゆるハイヒールを履くことが原因で、外反母趾を生じます。外反母趾の90%以上はこの環境要因と言われています。
遺伝的要因とは、親の形質遺伝(骨格など)や先天的特徴に由来するものです。親が外反母趾の場合その子供も外反母趾になる可能性があると言われています。ハイヒールを履かない男性や、小さな子供の外反母趾の原因とも言われています。
病的要因とは、関節が破壊されるリウマチや、先にお話した偏平足・開張足などの他の足部疾患に由来するものです。